海馬:記憶のアーカイブ


海馬は、大脳辺縁系の一部であり、主に記憶の形成と管理に重要な役割を果たします。この小さな構造は、新しい情報を長期記憶に統合し、空間的な認識とナビゲーション能力をサポートすることで、私たちの日常生活に欠かせない機能を提供しています。

海馬は、情報を一時的に保持し、次に長期記憶として大脳皮質の他の領域に伝達する役割を担っています。このプロセスは、学習と記憶の形成に不可欠であり、海馬が損傷すると、新しい記憶の形成が困難になることが知られています。

また、海馬は空間記憶と方向感覚にも関与しています。これにより、私たちは環境内での位置を把握し、新しい場所や経路を記憶することができます。研究によれば、タクシードライバーや方向感覚が重要な職業に従事する人々の海馬はより発達していることが示されています。

海馬の活動はまた、感情と記憶の統合にも関与しており、特に感情的に強い記憶が強固に保存されやすいことに影響を与えています。この機能により、重要な出来事や経験は長期記憶に維持され、簡単には忘れられないようになります。





ストレスの影響を強く受ける“海馬”

海馬(=かいば) は、脳機能の中で大変重要な部位です。


ストレスによる海馬の委縮

このトラウマを受けた脳画像は、脳全体において萎縮(神経細胞の崩壊)が見られます。







海馬のSCN(視床下部視交叉上核)と呼ばれるごく小さな領域には、24時間の体内時計(概日リズム=生物体に本来そなわっている、おおむね1日を単位とする生命現象のリズム。睡眠と覚醒など。)を作り出している細胞があり、これは、どの時間に何をするのが最も適当かを決めるという、重要な働きをしている。